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職人が整える一級の車内空間
ポルシェのレザーインテリア

「量ではなく質が重要だ」というフェリー・ポルシェの理念を、ポルシェは創業から現在にいたるまで貫き通しています。

オーナーそれぞれの理想を叶える、膨大な種類のカスタマイズ・オプションをつくり、その選択肢は今も増え続けています。

数あるオプションの中でも、「インテリア」のカスタマイズ・オプションは、まさに車内空間の「質」を向上させるものです。運転中も待機中も、ドライバーや同乗者の視界には常にインテリアが入るので、インテリアの質を高めることで、車内での居心地がまったく別のものに変わるでしょう。

そこで今回は、レザーインテリアにおいて、そもそも最初に選べる選択肢やカスタマイズ・オプションの詳細について、あらためて深掘りしていきたいと思います。

今回取材で訪問したのは、EBI GROUP のポルシェセンター青山です。

全国でも2店舗(関東では1店舗)しか存在しない、Exclusive Manufaktur Partner[エクスクルーシブ・マニュファクチャー・パートナー]として、ドイツ本国より認定されている、カスタマイズに特に秀でた店舗です。

ストゥットガルト本社の専門トレーニングを定期的に受けている専任担当も在籍するため、Paint to Sample 編に引き続き、より専門的な話を聞くことができました。

スポーツカーにリュクスな装いを
レザーインテリア

車でいう「インテリア」とは、まさに車内空間全体を指します。

ドアを開けたときにチラリと見えるドアパネルや、運転をより快適にするスポーツシート、ステアリングホイールに映えるカラーステッチ。はたまた、何気なくカップを置いているカップホルダーや、シートベルトを装着するときだけ目にするシートベルト出口のトリムなど、細部まで自分好みにカスタマイズできると想像したら、胸が弾むでしょう。

〈911 Turbo S Cabriolet〉レザー・インテリア・エクスクルーシブ・マニュファクチャー。

スタンダードな樹脂コンポーネントのスポーティな印象も捨てがたいものですが、レザーやファブリックをあしらったインテリアは、また違った世界観を創り上げてくれます。

車内に乗り込む時に感じる、手に吸い付くようなレザーの触り心地、視界を豊かに彩るツートーンカラー、リズムを紡ぐステッチなど、ふとしたときに居心地の良さを感じられます。

 

しかし、ポルシェのレザーはどこか品格があり、ラグジュアリーな雰囲気を纏っていると思いませんか。

それもそのはず。ポルシェの内装に使われるレザーは、オーストリアの老舗タンナーが誇る最高品質のレザーなのです。世界中のカーブランドの中でも、特にインテリアレザーにこだわるイギリスの名門「ベントレー」や、“億超え”ハイパーカー「ブガッティ」などにも使用されるレザーです。

EBI GROUP の各新車ポルシェセンターにはレザーサンプルがあり、その上質さを実際に触れて体感可能です。

そう聞くと、レザーインテリアのオプションを試したくなりますよね。

標準装備がオールレザーインテリアのターボモデルもありますが、レザーインテリアのカスタマイズ自体は全シリーズのモデルに適用できます。ダッシュボードやコンポーネント周りをレザーという素材に変えるだけで、QOLならぬクオリティー・オブ・“カー”・ライフが向上することは間違いないでしょう。

ワンカラーだけでなく、モダンな印象に変えるツートーンのコンビネーションのほか、ステッチやインテリアパネルとの相性を考えると、組み合わせは無限大……? その圧倒的なバリエーションの豊富さから、他社と比較しても、ポルシェが車のパーソナライズに力を入れている様子がわかります。

機械による通常オプション、
人によるExclusive Manufaktur

レザーインテリアに言及するうえで忘れてはいけないのが、特別なカスタマイズ・プログラム「Exclusive Manufaktur (エクスクルーシブ・マニュファクチャー)」です。

皮革やファブリックを扱う部門「Leather Interior Exclusive Manufaktur (レザー・インテリア・エクスクルーシブ・マニュファクチャー)」で取り扱うレザーとステッチのカラーは100種類以上。

カラーラインナップは、かつて空冷エンジン時代に使用されていた鮮やかなリビエラブルーなども含まれているため、クラシックなテイストを現代的な解釈で組み合わせることが可能です。

エクスクルーシブ・マニュファクチャーで組み合わせ可能な、レザーのカラースワッチ16色(2025年3月時点、〈911〉の場合)

一見、スタンダードなオプションメニューと比べると、選べる色数の違いだけのような印象を受けてしまいますが、本質はまったく異なります。

実際にエクスクルーシブ・マニュファクチャーの工房に訪れたことがあるという、Exclusive Manufaktur Partner[エクスクルーシブ・マニュファクチャー・パートナー]の専任担当である、シニアセールスエグゼクティブ丹田勝士(以下、丹田セールス)に話を聞きました。

「“スタンダード”なレザーオプションと、エクスクルーシブ・マニュファクチャーでは同じタンナーの最高級レザーを使用していますが、製造工程がまったく異なります。

スタンダードのものは、既に染色されているレザーを他の車両パーツと同じように機械的に切断・検品・処理され、貼り付けられていきます」

エクスクルーシブ・マニュファクチャー工房にて レザーを縫い合わせている職人。
人の手でセットしていく、エクスクルーシブ・マニュファクチャーのレザーインテリア。

「一方で、エクスクルーシブ・マニュファクチャーのレザーインテリアは、ツッフェンハウゼン工場(ドイツ・シュトゥットガルト)にある専用の工房で、オーダーごとに必要な枚数のレザーを染め上げ、傷がないか人の目でくまなくダブル・チェック。

職人自らが型に沿ってレザーを切断し、手で縫い上げ、最後は組み立てまで責任をもって請け負います」(丹田セールス)

エクスクルーシブ・マニュファクチャーは、ドイツのクラフツマンシップに基づくマイスター(職人)制度の継承プログラムという側面を持っているだけに、オーダーにはコストと同時に職人の作業時間も加味した時間を要します。

まさにテーラーメイドの「1点もの」をつくっているのです。

ヨーロッパ最高峰のレザー素材に、クラフツマンシップが宿る職人の手が加わったものなので、仕上がりはまさに超一級品。細部にまで、繊細かつ精確な技術が垣間見えます。

圧倒的な精確さに感動すら覚える
ポルシェのクラフツマンシップ

エクスクルーシブ・マニュファクチャーの精巧な技術力がわかるインテリアパーツを丹田セールスが見せてくれました。エアコンダクトの一体型ユニットに、時計をはめこんでいる、複雑な凹凸のあるパーツです。

手作業によって、寸分違わずレザーが貼り付けられたレジスターパーツ。裏側のコーナー部分には明らかに人の手が加わった切れ込みがあったのが印象的。

樹脂の土台パーツに浮きがでないように「へら」で丁寧にレザーを貼り付けていくようですが、ここまで綺麗に隙間なく仕上げるためには、数値では測れない技術力と経験を必要とします。

時計のちょうど真上部分には、レザー同士のつなぎ目となるステッチのラインが真っすぐ伸びており、その美しさはまるで雲間から流れる一筋の光のようで、惚れ惚れとしてしまいます。

特にダッシュボード付近のレザーは、温度変化が激しいため、他ブランド車では年数が経過するとレザーが浮いて剥がれてきたり、変色が激しかったり、「傷み」が顕著にでる典型的な箇所です。

ポルシェ車の場合、何十年も経過した空冷エンジンモデルや初期の水冷エンジンモデルを見れば一目瞭然ですが、とにかく強い耐久性を持っており、長く美しさを保っているのも特筆すべきところです。

「レザー自体は生き物なので、お客さまと共にその風合いを醸成していきます。そのレザーの奥深さはおそらく、愛車を大事に、永く乗られている方はご存じかと思われます。

しかし、ダッシュボード部分は、いくらフロントガラスで直射日光から守られているとはいえ、熱や湿気の影響を多大に受けます。レザーや接着剤の組み合わせによっては、経年劣化によって気泡のようにポコポコと浮きが出てくる場合があります。年数が経った他社の車で見られたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ポルシェの場合は、例え接着剤であっても、過酷な環境下での耐久試験をいくつもパスしたものを製品に使用しているので、この感動的な仕上がりを10年、20年でも保ちます」(丹田セールス)

Exclusive Manufakturの実例
ポルシェの「伝統」を現代的に解釈

編集部がポルシェセンター青山で撮影していた際、ピンクがかった美しいホワイトトーンの〈911 Turbo S〉があり、思わず目が釘付けになりました。

【PTS】Moongemカラーのボディカラーを施した納車前の〈911 Turbo S Cabriolet〉

特注カラーオプションであるPaint-to-Sampleの『Moongem ムーンジェム』で仕上げられていて、まるで夜空に浮かぶストロベリームーンを宝石にしたような幻想的な色合いです。

インテリアもコニャックカラーのレザーと、ペビータ(千鳥格子)柄を組み合わせたクラシカルなあしらいで、ペールカラーの外装とも相まって、時代を超越した独特なおしゃれさを醸し出しています。

お客さまがエクスクルーシブ・マニュファクチャーでカスタマイズを依頼された車とのことで、丹田セールスにオーダーの背景を伺いました。

「お客さまはスーパーカー世代で、1960~70年代の車に強い憧れを抱いていらっしゃいました。

さまざまなご事情があってこれまで車を手に入れることが叶わず、ようやく、今、長年の夢を叶えられたというわけです」

手前にあるホワイトカラーの車両と比べると、その赤みがかった色合いの儚さがわかります。
ポルシェのクレストを施したヘッドレスト。コニャックカラーにペビータの柄がおしゃれです。

「しかし、残念ながら純粋なクラシックカーは入手が難しいので、エアコンなどが付属する、使い勝手のよい現行モデルである〈911 Turbo S〉に、クラシックカーのエッセンスを取り入れました。

そのため、インテリアも『ヘリテージデザインパッケージクラシック』が選ばれています」

「このパッケージの特筆すべき点は、実はメーターパネルにあります。メーターに使われているレターはグリーンレターですよね。

これは、ポルシェ社が最初につくったモデル〈356〉に採用されたもので、1970年代初頭までポルシェのモデルに実際に使われていた仕様なんですよ」(丹田セールス)

〈356〉の遺伝子を受け継いだスピードメーター。

エクスクルーシブ・マニュファクチャーでは、この車のように、伝説的なモデルによるインスピレーションと、愛車をリンクさせることもできます。

スピードメーターのグリーンレターは、本当に細かな点かもしれません。しかし、お客さまにとって、このグリーンレターは大変価値のある、そして意義のあるオプションなのです。まさにお客さまの想いを形にした車、ご自身の想いとポルシェのヘリテージがクロスして生まれた、夢の車両と言えるでしょう。

参考・〈356〉本来のグリーンレター(ポルシェスタジオ銀座にて撮影)

カスタマイズに悩んだら
「インテリアトリムパッケージ」も

自分好みに仕上げたくとも、一台目においては最初から細かいオプションを仕上げていくのも、なかなか難しいものです。特に長年連れ添おうとする相棒であれば、なおのこと頭を抱えてしまう方も多いでしょう。

そんなときは、「インテリアトリムパッケージ」がアイディアのヒントになるかもしれません。

コントラストカラーのレザーシートに装飾的なステッチを組み合わせたインテリアをパッケージとしてご用意しているので、あとは細かな部分を自分好みに変更するだけ。簡単にオリジナルのインテリアをつくることができます。

モデルによっては「ヘリテージデザイン」から着想を得たパッケージプランなどもあるので、ぜひ気になった方はポルシェジャパンのWEBサイトにある「Car Configurator(カーコンフィギュレーター)」をチェックしてみてください。

お客さまの秘めた想いを形にする
Exclusive Manufaktur

カスタマイズ・オプションの中でもエクスクルーシブ・マニュファクチャーは、お客さまの個性を存分に表現する、ポルシェならではの手法です。

今回の取材を通して、ボディカラーがお客さま自身を象徴するものであれば、インテリアにおいてはお客さまのスタイル、生き様、ストーリーなどの、「内に秘めた想い」が投影されるものだと感じました。

インテリアのカスタマイズは、車内空間の質を向上させ、居心地の良さを追求するものです。そのため、お客さまがこれまでに感じ、選び取ってきた「心地よさ」を、カスタマイズ・オプションを組み合わせていく中で再現していきます。

エクスクルーシブ・マニュファクチャーを含めて、700以上もの種類があるカスタマイズ・オプションは、細やかにお客さまのスタイルに寄り添い、夢や想いを形にするものなのでしょう。

自らの好みの綴りを型押しすることもできるレザーアームレスト。写真はデジタルスタジオの文字を入れた実際のカーコンフィギュレーターの画像。

ポルシェは「永続的な開発」を伝統としています。

その伝統はモータースポーツに身を置き、常に車両の性能を最大限に引き出す最新技術の開発を続けるという心意気だけではないようです。お客さまのアイディアに最高の品質で応え、共に新たなポルシェを創りだしていきたい。そんな決心を感じました。

EBI GROUP には、過去3万1千台以上のポルシェを販売してきた、圧倒的な実績と経験がございます。そして、お客さまの唯一無二のご要望を形にしてきたセールスコンサルタントたちが多数在籍しています。

フィッティングラウンジにてコンサルティングの上、お客さまのこだわりを実現する方法やオプションを丁寧に一つ一つご提案いたします。ぜひお気軽にご予約のうえ、ご相談ください。

今後も お客さまのポルシェライフをより良いものにすべく、EBI GROUP はポルシェオーナーさまのご要望を叶え続けます。

Words:Yuki Kobayashi / Tatsuhiko Kanno
Photographs:Shizuka Sherry / Porsche AG

– TEAM EBI DIGITAL STUDIO –