LIFESTYLE

至高の空中レジデンス
ポルシェデザインタワーの全容を知る

私は自らが理想とする車を探したが、どこにも見つからなかった。だから自分で造ることにした。

創業時にフェリー・ポルシェが語ったとされるこの言葉には、「自らが理想とするスポーツカーを走らせたい」という想いが込められています。その想いは多くの人々の手によって引き継がれ、伝統と最先端テクノロジーによる高い機能性という両輪を併せ持つポルシェのスポーツカーは、いつの時代もオーナーたちの心を満たしてきました。

そしてその想いはフェリー・ポルシェの息子、フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェ(以下、F.A.ポルシェ)が興したデザイン会社「ポルシェデザイン」にも継承され、唯一無二のデザインとそのプロダクトを世に送り出してきました。

そのポルシェデザインにおける究極的なブランド表現の一つが、ポルシェデザインタワーです。これはポルシェデザインが手掛ける不動産事業で、米国・マイアミ、ドイツ・シュトゥットガルトの2つに次いで、2028年にはタイ・バンコクにラグジュアリータワーレジデンスとして竣工予定です。

世界初の「ポルシェデザインタワー」は2017年に米国・マイアミに竣工。

このポルシェデザインタワーで特筆すべき点は、最先端のテクノロジーを駆使して、愛車を身近に感じられる居住空間を成立させたことです。フェリーの言葉を借りるとしたら「ポルシェ・オーナーが理想とする空間を探しても、どこにも見つからなかった。だからポルシェデザインで造ることにした」となるでしょうか。

2028年竣工予定「ポルシェデザインタワー バンコク」に採用された、愛車のプライベートガレージ兼ミュージアムとなる「パッション・スペース」。

2025年6月某日、アジアで初となる究極の居住空間の誕生に伴い、「ポルシェデザインタワー バンコク」の販売説明会がポルシェスタジオ銀座にて開催されました。その様子をご紹介するにあたり、EBI DIGITAL STUDIO は究極の住処ポルシェデザインタワーの魅力に迫りたいと思います。

ポルシェデザインのDNAを凝縮したタワー

「ポルシェデザインタワー」はポルシェデザインが手掛けている不動産事業のひとつで、2017年に米国・マイアミ、2022年にドイツ・シュトゥットガルトの2つが建てられました。

「ポルシェデザインタワー シュトゥットガルト」。高さ90mほどで、中にはオフィスや4つ星ホテルの「Radisson Blu Hotel」が入っている。

ポルシェ本社から車で約10分ほどの場所にそびえる、「ポルシェデザインタワー シュトゥットガルト」は、隣接する販売ディーラーであるポルシェセンターシュトゥットガルトと躯体の一部が融合しており、どちらかというとホテルを内包するビジネスタワーという趣が強い印象を受けます。

あらためてポルシェデザインタワーの外観を見ると、そのどれもがF.A.ポルシェが製品に対して臨んできた姿勢を物語っています。それは「形態は機能に従う」というスタイルの徹底です。彼は何よりも機能性を最優先して装飾を削ぎ落し、妥協のない品質を実現するために、革新的な技術や素材を常に探し続けていました。

「ポルシェデザインタワー マイアミ」が竣工した際に、ポルシェデザイングループのCEO、ヤン・ベッカーは次のように述べました。

ポルシェデザインブランドのDNAを凝縮した機能的なデザインは、居住者の日常生活のあらゆる場面に寄り添い、機能とテクノロジーの融合を特徴とするユニークで革新的な体験を実現します。

(2017年クリストフォーラスマガジン382号「マイアミ初のポルシェデザインタワー」より)

ポルシェデザインタワー マイアミ

ビジネスタワーであるシュトゥットガルトは除き、「ポルシェデザインタワー」が他のレジデンスと一線を画す点は、モビリティの象徴である車をインテリアに変貌させる点です。これまで集合住宅の場合は、共有の駐車スペースに置き去りにせざるを得なかった愛車を、プライベートな空間に持ち込むことができるようになりました。

それはまさに、ポルシェも含むあらゆるプレミアムカーのオーナーが長年恋焦がれていた、いつなんどきでも愛車を楽しめるカーライフそのもの。ポルシェデザインは、人生さえも“妥協せずに”デザインしてしまったようです。

「ポルシェデザインタワー マイアミ」の車用エレベーター「デゼルバトール」を下から見上げた様子。

また、タワーには、スパ、映画館、ゴルフシミュレーター、ヨガスタジオ、レストラン、ヘアサロン、プールといった施設も併設しているので、家を生活の中心としながら究極のパーソナルラグジュアリーを体験できるのです。

圧倒的な存在感を誇る
ポルシェデザインタワー マイアミ

マイアミビーチにそびえたつ、約200メートルものタワー。60階建ての円筒形の建物は、ポルシェデザインを象徴するようなブラック、グレー、ステンレスシルバーの3色でまとめられています。全132戸の居住スペースはいずれも390平方メートル以上を誇ります。また、タワー上部にある4階建てのペントハウスは、1,800 平方メートルの広さを持っています。

タワーの表層で、凹んで穴が開いて見えるような箇所はガラス張りのバルコニーです。本来なら最高級のペントハウスにあるプランジプールや、BBQができる屋外サマーキッチンなど、様々なアメニティが備わっています。部屋内の詳細画像はありませんが、床から天井まで広がる窓から望む青い大西洋は、息を呑むほど美しい眺めです。

このタワーを特徴づけるのは、特許取得済みの革新的な自動車用エレベーターシステム「デゼルバトール」です。これは800フィート/分(243メートル/分)の速度で、居住者とその愛車を空中住居へと運びます。 

このエレベーターの実現において、いかにしてエンジンを始動させずに車を屋内に運び込むかが課題だったようです。これを解決したのは、車両をレール上に乗せて輸送するシステムです。タワー中央にある3基のエレベーターは、積み込みから輸送、積み下ろしまでを2分未満で完了させます。

地上階から住戸まで「デゼルバトール」で運ばれるため、車自体が「鍵」のような役割を果たします。煩わしい施錠からも解放されながらもセキュリティは万全。(別途、室内には居住者用のプライベート・エレベーター2基を設置)

各住戸には最低2台分の駐車スペースがあり、リビングルームに直結しています。想像してみてください。リビングの一面ガラスの向こうに、長年かけてご自身の色に染め上げた愛車がまるで壮麗な彫刻作品のように鎮座しています。それはどのアートピースよりも美しく、堂々とその存在感を放つでしょう。

ポルシェデザインタワー バンコク
販売説明会 in ポルシェスタジオ銀座

6月某日、世界70以上の国と地域の高級不動産を仲介する「リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ」主催で、2028年竣工予定の「ポルシェデザインタワー バンコク」の販売説明会が開催されました。

タイの大手不動産開発会社アナンダ・デベロップメントが現地デべロッパーとなり、プロジェクトがスタートしている「ポルシェデザインタワー バンコク」。ポルシェスタジオ銀座での販売説明会にもアナンダ・デベロップメントの担当者が来日し、お客さまにプロジェクトの詳細をご説明されました。

ここからは EBI DIGITAL STUDIOが販売説明会で入手した特別な情報も交えて、「ポルシェデザインタワー バンコク」の魅力をご紹介したいと思います。

ポルシェのデザイン要素に満ちた
唯一無二の巨大アーキテクチャー

タワーが建設されるのは、首都バンコクで最も格式高いトンロー地区のスクンビット通り。ニューヨークならソーホー、東京なら表参道に例えられ、洗練された海外ファッション・ブランドやミシュランで星を獲得したレストランなどが軒を連ねる地域です。

高さ95メートル、21階建てのタワーの頂上には、ポルシェのライトストリップから着想を得た「ザ・クラウン」というライトシグネチャーが採用されています。赤く煌々と輝くそれは、バンコクの夜に堂々とその存在を放つでしょう。

バンコクのスカイラインに新たな意匠を添える「ザ・クラウン」。
911 Carerra GTSのバックライトストリップ。

「ポルシェデザインタワー バンコク」の顔にあたる台座部分にも、ポルシェの車から着想を得たものがありました。「Xフレーム」と呼ばれる露出した台座構造は、ポルシェのコンセプトカー「ミッションR」のデザインとその外骨格構造からヒントを得たようです。

見る人が見ればわかる、ポルシェが生み出した機能デザイン。
コンセプトカー「ミッションR」。“exoskeleton”(エクソスケルトン)と名付けられたカーボンルーフ構造には、セーフティーケージとルーフパネルが組み合わされています。

自分だけのポルシェ・ミュージアムをつくる「パッションスペース」

ポルシェデザインタワーの象徴ともいえるプライベートガレージは、バンコクで究極のラグジュアリーガレージへと昇華するでしょう。「パッションスペース」と名付けられたこのスペースは居住空間とは別に、低層階に設けられています。

このスペースは空調も防音設備も完備しており、お好みに合わせてカスタマイズできます。居住車同士の社交の場や特別なイベントのほか、様々なアクティビティを楽しむための多目的な空間にも変貌可能なようです。

パッションスペース全体像。車を複数台飾れるほどの広さをもつ。
建物中央に位置する螺旋状の屋内車道「ザ・ループ」(地下~8階まで)を上がっていくと、「パッション・スペース」に乗り入れることができます。
「ポルシェデザインタワー バンコク」の内側、螺旋状の車道を下から見上げたときのイメージ。
「パッションスペース」から高層階への居住空間へは、専用のプライベートリフトで移動することができると、リストのご担当者談。

限定22戸のみの超ラグジュアリー空間

タワーには全22の住戸が含まれています。ただし、タイの法律では海外国籍の方が購入できる住戸数は、全住戸の49%以下(今回の場合は10戸程度)のようです。

525平方メートルから1,135平方メートルまでバリエーションのある居住空間は、一般的にラグジュアリータワーレジデンスと言われるハイグレードマンションとは、まるで一線を画します。2階層のデュプレックス、もしくは4階層もあるクアッドプレックスなどで構成されており、タワーの中で邸宅が上下に積み重なったような構造となっています。

ベランダには、スイッチ一つで空間を自在に変化できる完全自動化テラスドアシステムが搭載され、屋内と屋外の境界線が溶け合い、居住者に格別な開放感をもたらします。このカスタマイズ可能なファサードが、ポルシェ〈911 タルガ〉のルーフ機構「キネティック・ムーブ」のハイブリッドな使い勝手から着想を得たというのには驚きです。

べランドの入口は、カスタマイズ可能なファサードを採用。ガラスウォールに囲まれたプライベートプールも見られる。

特別に公開されたデュプレックスの間取りを見てみると、下階のリビングは吹き抜けとなっており、天井高が6.3mもあります。寝室は主寝室を含めて3部屋で、ライブラリー、マルチパーパスエリア、ワインセラー、メイドルームなども備わっています。(基本の間取りはパッケージでご提案しており、内装のアレンジは要相談)

こちらの間取りの専有面積は、合計826㎡(パッションスペース込み)という広大な面積となります。気になる物件価格は日本円で約33億6,182万円で、坪単価は約1,345万円とのことです。

坪単価だけで考えると、東京都心のラグジュアリーレジデンスと比較しても、極端に高額というわけではないですが、専有面積が826m2もあるということですから、単純計算で30億円を超えることになるのですね…

今後もラグジュアリーブランドのレジデンスがアジア圏に参入してくると考えられる中で、「ポルシェデザインタワーバンコク」がフロントランナー的存在となるのは間違い無いでしょう。

ブランドを超越した世界に触れた
特別なイベント体験

今回、リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ 様 主催による特別なイベントをポルシェスタジオ銀座で開催することができ、日頃のストア運営では知ることがない特別な世界を垣間見ることができました。

1区画が日本円で数十億円からという、異次元の販売価格はさることながら、ポルシェデザインが体現する究極的なブランドの世界がそこに存在し、それを手にすることができる現実のプロジェクトの全容を目の前で聞くことができたのは、本当に衝撃的な体験でした。

実際に購入することは難しくても、例えばシュトゥットガルトのポルシェデザインタワーの「Radisson Blu Hotel」に宿泊してみるという体験でしたら、比較的実現可能なのではないでしょうか。マイアミやバンコクのレジデンスとはかなり雰囲気が異なりますが、ポルシェミュージアムからもほど近い場所にあるので、ぜひ旅行で訪れてみることをお勧めいたします。間違いなく、記憶に残る素晴らしい体験になることでしょう。

※レジデンスの詳細や価格などを含めた本文の内容は2025年6月時点のものです。今後のプロジェクト次第で変更されることは十分あり得ますのでご了承ください。

Words: Yuki Kobayashi / Tatsuhiko Kanno
Photographs:Porsche AG

– TEAM EBI DIGITAL STUDIO –