REVIEWS

街乗りだからこそ楽しめる
ポルシェのパフォーマンスとは

EBI GROUP の各ポルシェセンターでは、クラシックカーからEV・最新の現行モデルや、認定中古車にいたるまで、ポルシェについてのあらゆるご相談に、専門的な知識と技術を有するスタッフが日々対応しています。

そこで当コラムでは、EBI DIGITAL STUDIO 編集部がスタッフとともに、問い合わせの多い疑問に対して、お客さまに「なるほど!」とご納得いただけるような回答をご提供いたします。今回は、「ポルシェの街乗り」について解説していきます。

ポルシェは街乗りに不向き?

スポーツカーについて「街乗りには不向き」という印象をお持ちの方は、実は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

スポーツカーの最大の魅力は「走る楽しさ」にあります。パワフルなエンジンとダイレクトなハンドリング、そしてコントローラブルなブレーキによって「走る、曲がる、止まる」の動作を意のままにこなす走りは、本当に爽快ですよね。

ただし、日本の一般道では車本来のポテンシャルを思いっきり堪能できないという点において、不満に感じられる方もいるでしょう。

それでは、スポーツカーブランドであるポルシェのモデルも「街乗りに不向き」なのでしょうか。

答えはもちろん、「いいえ」。実は、何気ないシティドライブの中にも、ポルシェだからこそのドライビング・フィールを感じられる場面はいたるところにあり、「走る楽しさ」をしっかりと享受することができるのです。

俊敏な動きが必要な都市部で
“意のまま”に操縦できるポルシェ

都市部での走行は、信号によるストップ&ゴーや、路駐車両を避けるための急な車線変更などが多いため、とっさに俊敏な動きが要求されることがかなりありますよね。

特に東京都心部などは、道幅がせまいうえに車間距離も短く、先を急ぐ宅配車両や客を探すタクシーなどが混在し、死角からビジネスマンがスマホ片手に車道を横断してくることなどは日常茶飯事のこと。

また、繁華街のビルの合間にある入り口から首都高に乗り込むと、そこにはまったく違う世界が広がります。

エスケープゾーンが無い、タイトなワインディングさながらの道を車間距離を詰めながら多くの車がハイスピードでひた走る、東京名物の首都高速都心環状線、いわゆる「C1」の世界です。

このように、陸上競技でいうならば、“十種競技”のような、なんでもありのシティドライブにおいて、水を得た魚のように高い運動性能を発揮するのが〈911〉や〈718〉など、ポルシェを代表するコンパクトスポーツカーです。

たとえば、前述の「C1」を走行中に、1車両分が空いた瞬間を突いて、左車線へ流れるように車線移動をするときなど。繊細なアクセルワークとステアリング操作が必要なシーンで、狙った位置へ車体をイメージ通りにピタっと、瞬間的にコントロールすることができるのが、ポルシェのスポーツカーなのです。

都心のシティドライブには、あらゆる予想外な“トラップ”が潜む。

また、大きい交差点への進入直前に黄信号に変わり、加速途中にあわてて急ブレーキをかけるという場面などもよくありますよね。

ポルシェにとって街中レベルの速度域であれば、それこそ瞬時に車速を落とし、イメージする遥か手前で停止するなども容易いこと。

ドライバーの意のままに止まることができるどころか、『後続車に追突されないか?』と、ルームミラーを確認しながら止まる余裕まで生まれるほどです。

このように、パワフルなエンジン、正確なハンドリング、コントローラブルなブレーキの組合せによって、法定速度内においても踊るようにリズミカルな運転ができるのがポルシェのスポーツカーの特徴です。意のままに操れる、すなわち“人馬一体”なのです。

スポーツカーらしい
グラマラスなボディが仇となるときも

道の上では颯爽と走るポルシェのスポーツカーですが、都市部の狭い駐車場では慣れていないと苦労する場面もあるでしょう。

ポルシェの車体はどのモデルも左右のフェンダーが大きく盛り上がり、そこに収まるタイヤホイールも車体幅ギリギリまで張り出しています。また、ドアも分厚いため、慣れていないと駐車場でドアが開けられない!なんて事態も……。

走行性能の高いモデルほど車幅が大きくなる傾向は、昨今の自動車業界全般に言えることですが、スポーツカーらしいグラマラスなボディが仇になる瞬間ですね。

スポーツカーらしい走りを見せる
ポルシェのEV

では近年ポルシェから登場している電気自動車はどうでしょうか。2024年に登場したばかりの〈マカン Electric(以下、マカンEV〉や新型〈タイカン〉も、実は街乗りにおすすめのモデルです。

アクセルの踏みはじめからパワフルで超スムーズな加速感など、ハイパフォーマンスEVの走りはシティドライブに非常にマッチします。

そこで実際に〈マカンEV〉と新型〈タイカン〉で“ポルシェらしい走り”を街中でどのように堪能できるのか、EBI DIGITAL STUDIO 編集部が都内をドライブしてきましたので、レビューします。

SUV型スポーツカー〈マカン〉の
ドライビングフィール

〈マカンEV〉は、そもそもの設計思想の根本に、SUVでありながら〈911〉をはじめとする「走りのDNA」が細部にまで組み込まれており、驚くほどピュアスポーツカーらしいドライビングフィールに溢れています。

ドライビングプレジャーを享受しつつ、街乗りにぴったりな実用性も欲しい方にはまさに〈マカン EV〉がおすすめです。

Macan Electric は車両のサイズ(全長・高さ・横幅など)が日本の道路や駐車場などの環境に合っているので、街乗りでも扱いやすいと感じられる。

ベストサイジングな快速シティランナー

〈マカンEV〉で街中を走り始めてまず感じるのは、そのサイズ感のちょうど良さです。大きすぎず、それでいて存在感のあるボディ、見切りの良い目線の高さ、短い全長など、そのすべてが街中での乗りやすさに繋がっています。

また、重心が高くふらつきやすいSUV型でありながら、重たいバッテリーをフロア下に積むことで、既存のガソリンモデルでは実現できない、低重心によるアジリティの高さを併せ持っています。

路駐車両を避けるための急な車線変更や、信号で強めにブレーキをかけた際など、車体の荷重変化が大きいシーンにおいても、低重心による姿勢変化の少なさを常に感じることができました。

これはまさにポルシェのスポーツカーの感覚そのものです。

〈911〉を彷彿させるマカンのディメンション

大きく張り出した左右のフェンダー、水平対向エンジンさながらの低重心、大トルクで路面を蹴り出す太いリアタイヤ、繊細なステアリングフィールを実現する細めのフロントタイヤなど、〈マカンEV〉を構成する多くの要素は、〈911〉を彷彿とさせます。

SUVらしく後部座席と荷室が広く、人や荷物を積載できるので、買い物やドライブなどマルチに使用可能。

そもそもの設計思想が通常のSUVと違うからこそ、〈マカンEV〉の走りは〈911〉と同じように街中で冴え渡ります。

SUVの万能性を持ちながら、クラス最高峰の運動性能によるドライビングプレジャーを併せ持つ、というパッケージの完成度にはあらためて脱帽します。

〈マカンEV〉はスポーツカーとしての矜持も、大切な方との時間も、どちらも譲れない方におすすめのモデルと言えるでしょう。

街を行き交う誰もが振り向く
BEVのスーパースポーツカー〈タイカン〉

ポルシェが初めてBEV(Battery Electric Vehicle、電気自動車の意)としてラインナップに加えたモデルである〈タイカン〉。ポルシェらしいフライラインで、誰もが見惚れてしまうプロポーションをまとった姿に振り返らない人はいないでしょう。

大トルクがもたらす、余裕に満ちた優雅な走り

車体自体はそれなりに大柄で〈911〉と同じ機敏性を求めることは難しいものの、ダイレクトなハンドリングやボディ全体の剛性感、アクセルレスポンスの繊細さなど、その走りの完成度には驚きを隠せません。

その電気自動車らしからぬスタイルの良さは、圧倒的な存在感を放っており、すれ違う皆が振り返る。

そしてあらためて感じるのは、低回転から発生する太いトルクによる「余裕のある走り」です。

エンジン車の場合は、ある程度エンジンを回さないと、グッと地面を蹴り出すトルクが生まれないため、特に街中ではアクセルを踏んでからワンテンポ遅れてパワーが出てきますが、EVモーターは踏んだ瞬間に最大トルクを発生します。

そのため、低回転域でも意思に忠実な加減速を行うことができ、結果的にアクセルのON/OFFの多い街中での走りやすさに繋がっているのだと、強く感じました。

スポーツカーらしく走りながらも
サルーンのような快適さに驚く

〈Taycan 4 Cross Turismo〉

もう一つ、市街地を走る中で感じる〈タイカン〉の特筆すべき点は、驚くほどしなやかな乗り心地です。スポーツカーを運転中に荒れた路面から強烈な突き上げをくらうことは、公道を走るうえで必ず起こることであり、それなりの覚悟が必要です。

しかし〈タイカン〉に乗っている間は、そういった不快な突き上げを感じることは皆無に等しいと言ってよいほど、惚れ惚れする足回りの完成度を持っています。3チャンバー式エアサスペンションという、3つの部屋に仕切られ繊細に制御されるサスペンション構造が、その素晴らしい乗り心地を支えているのです。

それでいてグッとアクセルを踏み込んだり、強めにブレーキを踏み込んだりしても、まったく腰が砕けず、姿勢変化もほとんど発生しないという、まるで魔法の絨毯のような足回りです。これであれば、街中での移動もいつも快適ですし、何気ない道でも運転を心から楽しめますよね。

モータースポーツで培った
ポルシェのテクノロジーは
街中でもその真価を発揮させる

元々ポルシェは自動車のパフォーマンスを高めるために、極限の状況下で戦うモータースポーツの世界でさまざまな技術を開発してきました。

そしてレースという実験場で培われたテクノロジーは、公道向けの実用スポーツカーへと転用されます。その究極的なプロダクトこそが、ポルシェの市販モデルなのです。そのため、交通量も多く、ON / OFFが激しく交錯する街乗りにおいて、最新のポルシェがその真価を発揮するのは至極当然なのかもしれません。

ポルシェはどんな環境でも、走る喜びをドライバーに多面的に与えてくれる「最高の相棒」だということを、あらためて強く体感した今回の撮影でした。

現在、ポルシェスタジオ銀座では、E-Performanceモデルの試乗車を多数ご用意しております。

ぜひご自身でそのパフォーマンスを試されてみてはいかがでしょうか。試乗のご予約は以下のページから承っております。ぜひお気軽にお申し込みください。

Words:Tatsuhiko Kanno / Yuki Kobayashi
Photographs:Hiroyuki Onuma / Ei Tsuchida

– TEAM EBI DIGITAL STUDIO –