2025年4月7日、「ポルシェがドイツ初のクラシックセンターをカッセルにオープン」というニュースが流れました。
ポルシェ創業直後からの販売パートナーであるグリニケグループと共同で、クラシックカーの専門的なレストアや販売を手がけるポルシェセンターをオープンし、盛大なセレモニーを開催したようです。

ニューモデルの新車販売だけではなく、クラシックを含めた中古車の販売やアフターサービスに、メーカー全体でコミットし続けている自動車ブランドは、世界中を探してもポルシェくらいなのではないでしょうか。
そこで当コラムでは、ポルシェセンターで購入できる正規の中古車、そして認定中古車について、その詳細と背景について、あらためて深掘りしていきたいと思います。
ポルシェの中古車が求められる理由
街行く人々の視線を集めながら颯爽と走るポルシェの姿に、そしてサーキットで性能の極限まで引きだして走るポルシェの姿に、「いつしか自分もポルシェオーナーに」と憧れの念を抱く人は少なくないでしょう。

ポルシェは、独自のスポーツカー〈356〉を世に出してから公道、レースどちらでも人々のエモーショナルな側面に訴え、その姿を目に焼き付けてきました。
また近年は独自の最新技術を余すことなくつぎ込んだ電動モビリティを展開し、〈タイカン〉や〈マカン Electric〉といった、既存の概念を打ち破る新型車を続々と発表しています。
しかし、ポルシェオーナーの夢を叶えられた方の中には、「新車」ではなく「中古車」を相棒に選ぶ方も非常に多くいらっしゃいます。その背景には当然さまざまな理由がありますが、主に大きな3つの理由に焦点を当ててみたいと思います。
納車までの時間が圧倒的に早い
ポルシェへの期待感を込めて、いざポルシェセンターに訪れ、試乗して「これだ」という一台が見つかっても、気に入る即納車がない場合は新車をゼロからオーダーすることになります。そうなると、オーダーから納車までに数ヶ月から1年、場合によってはそれ以上の時間がかかってしまいます。

ショールームに並ぶ、光輝く展示車たちを見てしまうと、「“今すぐ” に欲しい、乗りたい」という気持ちを数ヶ月以上も抑え続けるのは、大人でも耐えがたいものですよね。
ポルシェの実車を前にして、最大限気持ちが高まった状態で購入、そしてタイムラグがほとんどなく納車され、走り出すことができるのが中古車の魅力です。
当記事を執筆しながら EBI GROUP 内の中古車在庫を見てみると、新しいものでは2024年式の〈マカン GTS〉などの人気モデルも見つけました。新車をお求めの方でも、このラインナップを見てみたら「新車とほぼ同じ状態ですぐ手に入るのなら……」と、大いに悩んでしまいますよね。

「憧れのモデル」に出会えるかもしれない
ほかにも、「憧れのモデル」をどうにか手に入れたいという、強い思いが勝る方も多いでしょう。
〈911〉シリーズなどは現在新車予約が困難になるほど、限られた生産枠に対して人気が加熱しています。このような人気モデルは、予約が出来たとしても生産枠を獲得することができないまま、あっという間に販売が終了してしまうことも多くあります。
そうなると残される道は、中古車マーケットで虎視眈々と「憧れのモデル」の売り出しを待つほかありません。

ポルシェは移動のためだけに乗る車ではなく、愛情を注ぎ、より良いライフスタイルを実現するための「パートナー」的な要素が強く、あらゆる年式のモデルに強い思い入れを持つファンが存在します。だからこそ、いつの時代もポルシェの中古車マーケットは常に活況を呈しています。
中古車の在庫リストをWebサイトで見ていると、自身のハートを射抜いてくれる“お宝”が見つかることをついつい期待して、まるで「宝探し」のようなワクワクした気持ちになりますよね。

たとえば上写真の〈718 Spyder〉 は、7600rpmで420hpを発生させる、高回転型4リッターの水平対向6気筒NAエンジンという、限定車以外の新車では今後お目にかかれないであろう、超希少な“心臓”を搭載しています。
万が一でも、このスペックで「新車」が発売されたら、今の時代背景を考えると凄いニュースになることでしょう。新車発売時は少ない生産枠に多数の予約注文が殺到し、EBI GROUP の各新車拠点でも抽選販売となりました。
このモデルのように、既に生産終了をしてしまった「憧れのモデル」を確実に手に入れられると考えたら、ついつい中古車の入庫情報を覗いてしまいますね。
※すべて2025年4月時点の中古車在庫
世界統一基準に基づく
ポルシェが誇る認定中古車制度
ポルシェ正規ディーラーでは中古車を販売する際に、定められた条件を満たした車について、販売後も一定基準および期間を保証する「ポルシェ認定中古車(Porsche Approved)制度」が適用されます。この認定制度に合格した中古車は、ポルシェジャパンから、正式に「状態が良い車」としてお墨付き認定されるのです。

この絶大な信頼を誇る認定中古車制度こそが、ポルシェの正規中古車がこれだけ求められる最大の理由でしょう。
しかし、その認定制度が適用されるには、正規サービスセンターのテクニシャンが実施するポルシェ指定の111項目にも及ぶ点検とチェックに、すべて合格しなければいけません。仮に、1項目でも基準を満たしていなければ、認定中古車として販売することができません。
どのような点検整備をするのか?

入庫した中古車両を、まずリフトアップし、下回り、足回り、エンジンルーム、車内のすべての機能や状態を、ポイントチェックシートに従ってチェックしていきます。
ポルシェの心臓部であるエンジン周りについては補器類なども多いため、作動特性まで含めて特に細かく検査されます。工場内で一通りの整備を終えた後は、各拠点毎に決められたテストコースでの走行テストによる点検が行われます。
テスト走行中の確認事項だけでも、21もの点検項目があります。EBI GROUP の各サービスセンターでは、このテスト走行21項目を徹底的にチェックするために、最低でも10kmを走行するというグループ独自基準を設けています。

車両のすべての機能に異常がない状態を確認できたら、さらに、ボディ、内装の傷、汚れなどを点検し、必要であればポルシェ純正部品を使って適切に交換修理を行います。外装・内装ともにビジュアルのチェックもしっかりと行われ、まさに中古車をポルシェクオリティで可能な限り、新車オリジナルの状態へと近づけていくのです。

111もの項目を含むチェックリストでテクニシャンたちが確認しているのは、単なる品質保証や安全性だけではありません。ポルシェがポルシェであるための、最高のドライブ・フィールをお客さまへ自信をもって提供できるのかを、入念にチェックしているのです。
そしてポルシェ認定中古車を購入した際には、最低12ヶ月のポルシェアプルーブド保証が付属され、万が一のトラブルがあったときには、Porscheアシスタンスによる応急措置や搬送手配などといった、新車保証と同等レベルの充実したサポートを受けることができます。
ポルシェクオリティは
想いの継承によって紡がれていく
中古車にもかかわらず、ここまで厳しい認定制度を設けているのは何故でしょうか。その理由は、ポルシェブランドの中に脈々と流れ、創業当時から変わらず創造してきた「信頼」と「末永い価値」にあります。
ポルシェならではの「末永い価値」を示すエピソードをご紹介しましょう。
2017年5月に生産台数100万台目の〈911〉がドイツ本社のツッフェンハウゼン工場からラインオフしましたが、その時点で、50年以上も生産してきた〈911〉のうち、70%以上もの車両が走行可能な状態で現存しているとポルシェ社は正式に発表しました。
(ポルシェニュースルーム「Porsche milestone: One-millionth 911 rolls off the production line」2017年5月11日リリース)

多くの精密な部品から成り立つスポーツカーにとって、この数字は驚異的です。つまり50年以上にわたって車への真摯なる想いを、ポルシェ社はもちろんのこと、代々のオーナー、そしてテクニシャンたちが引き継ぎ、実践してきたからこそ成せる数字なのです。
本社のツッフェンハウゼン工場ではクラシック部門を設けて、今でも〈356〉の純正パーツを生産し続けています。本来であれば生産終了、もしくは流通している車がなくなれば、それと同時に廃盤となるパーツです。
ポルシェはポルシェである限り、何度でも蘇り、そして鮮やかな走りを私たちに魅せてくれます。クラシック部門と今回ご紹介した認定中古車制度は、未来永劫ポルシェブランドの「信頼」を紡いでいくために創造された、「末永い価値」を継承するプラットフォームなのです。

ポルシェセンター高輪2Fの認定中古車センター(1Fは新車展示)のフロア部分には、フェリー・ポルシェが創業時に語ったとされる言葉が掲げられています。
私は自らが理想とする車を探したが、どこにも見つからなかった。だから自分で造ることにした。
フェリー・ポルシェの想い、すなわち、「自らが理想とするスポーツカーを走らせたい」という想いの継承は、新たなオーナーたちによって、これからもずっと続いていくことでしょう。
クラシックから最新EVまで
膨大なノウハウでサポート

EBI GROUP では世田谷、六本木、高輪、小石川の各ポルシェセンターで認定中古車を販売しています。国内最大の市場である東京都心で拠点展開しているため、ラインナップには総走行距離が短い車から希少な限定車、そして年式は経過していても丁寧に整備されてきた良質車など、様々な車両を販売しております。
EBI GROUP には、ポルシェテクニシャンとしての技術力を問う世界統一資格「ZPT」において、最難関のゴールド資格保有テクニシャンが、総勢19名も所属しており、全国のゴールド資格保有者の約4割を占めています。

2024年末時点のデータ
膨大なノウハウを結集した EBI GROUP のサービスセンターのバックサポートにより、オーナーの皆さまは充実した安心のポルシェライフをお送りいただくことができるでしょう。
ぜひ魅惑のポルシェ認定中古車の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。千載一遇の出会いが、あなたを待っているかもしれません。
最先端の設備と精鋭を集めた 「ポルシェサービスセンター東京ベイ辰巳」
中古車のアフターメンテナンスには、2025年2月にオープンしたばかりの「ポルシェサービスセンター東京ベイ辰巳」への直接入庫もおすすめです。他社で購入された認定中古車なども受け入れています。
東京ベイ辰巳は最新のポルシェCIに準拠し、最先端の設備、そしてEBI GROUP に所属するテクニシャンの中でも“精鋭”を集結させています。
実際に整備を担当するテクニシャンと共に修理箇所を直接チェックし、原因を特定した後に、お客様のご希望にあわせた修理方法をご提案し、相談しながら丁寧に作業を進めていきます。

Words:Tatsuhiko Kanno / Yuki Kobayashi
Photographs: Etsuko Murakami / Porsche AG