日本でも本格的に販売がスタートした新型 Macan Electric(以下、マカン エレクトリック)。EBIグループ の各拠点でも、既に多くのお客さまにデモカーを試乗いただき、電動化によって磨き上げられたハイパフォーマンスに驚きの声とともに賛辞をいただいております。

この最先端のポルシェレーシングテクノロジーが注ぎ込まれた新型SUVは、ポルシェらしいスポーツカーのドライビングエクスペリエンスを体感できると非常に注目を浴びています。
EBI DIGITAL STUDIO 編集部では、このスーパーSUVの魅力をなるべく詳細にお伝えしたいと考え、前回の #1|エクステリア編 に引き続き、今回は、ポルシェドライバーエクスペリエンスを支える「インテリア/新機能」 についてご紹介してまいります。
コックピットで再現された
〈911〉から引き継ぐ伝統の美学

〈マカン エレクトリック〉に乗ってみてまず驚くのは、スポーツカーとしてのコクピットの再現性でしょう。身体を納めれば、視線は低く、姿勢の取り方、体を包み込むシート、ステアリングホイールとの目線の位置や距離感など、すべてにおいて〈911〉を彷彿とさせます。
〈911〉が歴史的に優秀なスポーツカーであり続けた理由の一つに、完璧なまでに体にフィッティングできるドライビングポジションの自由度があります。その拘り抜かれた「美学」が、そのまま〈マカン エレクトリック〉でも再現されていることに、シートに座った瞬間に思わずドキッとしてしまいました。
これはひとえに、今回初めて採用したBEV専用のアーキテクチャー「プレミアムプラットフォームエレクトリック(以下、PPE)」のおかげといえるでしょう。

PPEとは、800Vという超高速充電を可能にするシステムに、前後モーターとフロアバッテリーを基本構造として様々なモデル展開を前提に開発された、BEV完全特化型のプラットフォームです。それゆえ、室内空間をより広く取った自由度のある設計が可能になりました。
その恩恵を受けて、ドライバーと助手席の座席位置が前モデルよりも最大28 mmも低くなり、前モデル以上にスポーティな座席位置となったことで、より911を彷彿とさせるドライビングポジションがとれるようになったのです。

そしてステアリングを握る手元に視線を落とせば、そこにはすべてのポルシェモデルに共通する、“お約束”のモード切り替えスイッチがやはり鎮座しています。
スポーツモードやスポーツプラスモードなど、刺激的な走りに直結する動作はやはり直感的なアナログ操作で行いたい、というドライバーの意思を尊重した作りになっているところも、やはりポルシェらしい拘りでしょう。

デジタルとモノづくりが
完全調和する車内
実際には、細やかな機能などはセンターディスプレイ(10.9インチ)に集約され、ディスプレイタッチ操作もそれなりに増えた印象です。
一方で、シフトノブや、コンソールに配置されたエアコンスイッチ、音量などのコントロールスイッチは操作性のしやすさを重視した物理ボタンとなっており、ここもポルシェのユーザーエクスペリエンスへの配慮が伺えます。

とくに「さすが」と感じる点は、このシフトノブやエアコンスイッチの先端に精密に刻まれた、凹凸のフェニッシュです。(上写真参照)こういった物理スイッチの細かく丁寧な作り込みは、その質感の高さも含めて、新興メーカーにはなかなか出来ない老舗ならではの完成度だと感じます。
最先端テクノロジーの中に、このような人間工学に基づいた伝統のモノづくりの要素が当たり前に調和している点こそ、最新ポルシェの大きな魅力の一つだと思います。

バイザーレス
自立型インストゥルメントクラスター
スポーツカーの命とも言える計器クラスターは、〈マカン エレクトリック〉シリーズでは完全にデジタル化を果たし、進化を遂げました。さらにマカンの電動化に伴い、新ディスプレイとコントロールシステムが融合し、まったく新しいドライバーエクスペリエンスを体験することができるようになりました。

大きなフロントウィンドウが陽射しを室内に導き、解放感のある印象のコックピットですが、強い陽射しでも12.6インチの計器クラスターの視認性を邪魔しません。たとえ“庇”がなくとも、なだらかに湾曲したディスプレイは車の走行状況、道路状況などドライバーに必要な情報を明瞭に映し出し、伝えてくれます。
最新のAR技術搭載
初のヘッドアップディスプレイ

〈マカン エレクトリック〉は新世代のヘッドアップディスプレイもオプション装備可能です。87インチ相当のディスプレイに変化したフロントガラスには、標準のナビゲーション機能に基づいて、運転席の前方に拡張現実(AR)の情報が、ドライバーの10m前方に表示されます。
ヘッドアップディスプレイ自体は他社にも昔からある機能ですが、このオプション機能はARという名前の通り、より情報量が多く、立体的なのが特徴です。
実際にONにして街中を走ってみると、あらゆる場所で制限速度なども表示し続けてくれたりするので、道路の案内という機能以外でも非常に便利な面を感じました。

また、使い慣れたスマホと連携するインフォテイメントシステムも大型モニターにより非常に使いやすい印象です。進化する Apple CarPlay はもちろん、Android Auto にも当然対応する最新バージョンとなります。

SUVとしての充実したパフォーマンスも
全く新しいプラットフォームPPEによって内部の居住空間が広がり、SUVらしい日常での実用性、特に同乗者の快適性も向上しました。実際に後部座席を見てみましょう。

特筆すべきは、中央座席の足元です。前後独立の2モーターを搭載する前提のBEV専用プラットフォームのため、ガソリンモデルの4輪駆動では必須のシャーシ中央を通るプロペラシャフトがなくなり、足元全面がフラットに近い形状となって座席中央に余裕をもって人が座れるようになったのです。
またホイールベースが2,893 mmとなり、前モデルから85mmも拡大されたこと、そして着座位置が下がったことで、足回りにも十分なスペースが確保され、ヘッドクリアランスにも余裕ができました。

電動化によりラゲッジスペースも拡大

後部座席後ろのラゲッジルーム容量は、最大540リットルに増加しました。試しに、「ポルシェデザイン・トロリー 」のLサイズ(115L)と「Urban Travel Duffle Bag on Wheels(60L)」を積んでみましたが、まだまだ余裕があります。後部ベンチシート背もたれを完全に倒すと、容量は1,348リットルになるので、アウトドアなどのシーンでも活躍するでしょう。
こういったユーティリティ性の圧倒的な高さは、やはり2ドアのスポーツカーモデルでは及ばない部分で、スポーツカーとしての性能を持つSUV〈マカン エレクトリック〉ならではの最大の利点だと改めて感じます。

さらに、フロントのボンネットを開けると84リットルのフロントトランクがあり、小さな手荷物、車の整備品や充電機器などを収納するのに十分な広さです。
前後どちらのトランクも、キーを持っていれば、ハンドジェスチャーで簡単に開けることができるので、日常のシーンで役立ちます。
ドライビングの質を向上させる新機能
56個のLEDライトからなるコミュニケーションライト

今回のモデルチェンジでは、車内空間をよりドラマチックに盛り上げてくれる環境照明機能が搭載されました。左右のフロントドアとダッシュボード全体を横切るように搭載されたLEDライトストリップは、実は“コミュニケーションライト” としての機能も兼ね備えています。

ライトストリップの色調変化は、充電する際にバッテリーの充電状態を表現してくれるほか、例えば停車時に後方からクルマが接近しているときに誤ってドアを開けないように、「赤い点滅」で警告してくれるなど、実際に光り方と色によってさまざまな情報を伝えてくれるという、非常に考えられた機能です。

また、スポーツモードやスポーツプラスモードなどに切り替えた際にも、瞬間的に光り、“その気”にさせてくれるという憎い演出も用意されています。
急速充電にも対応した2つの充電口
〈マカン エレクトリック〉には、急速充電用の充電口がボディの左側後方、普通充電が右側後方についています。

2025年2月にオープンしたばかりの独立型サービスセンター「ポルシェサービスセンター東京ベイ辰巳」 の駐車場には、2025年2月時点でポルシェ最速の150kW急速充電器ポルシェターボチャージャーが設置されています。
充電器は365日24時間ご利用いただけますので、お近くまでいらした際はぜひ積極的にご利用ください。

新機能を携えて、かつて誰もが夢に思い描いていたような近未来的なスポーツカーへと変貌を遂げた〈マカン エレクトリック〉。しかし一方で、頑強なドライバーズシートに身を委ね、電動モーターが生み出す大パワーによって、リアタイヤがボディ全体を蹴り出すフィールを体感したとき、そのマシンの中に宿るポルシェの魂に、ドライバーはいち早く気付くことでしょう。
〈マカン エレクトリック〉に興味を持たれた方は、EBIグループのE-Performanceセンターでもある「ポルシェスタジオ銀座」まで、ぜひお気軽にお問い合わせください。
EVスペシャリストのPORSCHE PROが多数在籍していますので、ポルシェのEVについてのあらゆるご相談が可能です。
ポルシェスタジオ銀座での試乗プラン詳細は以下のバナーリンクからご確認ください。
次回の#3|試乗レビュー編では、いよいよそのパワフルな走りについて深掘りをしていきますので、ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
