REVIEWS

世界を股にかける
アスリートとポルシェの化学反応

356から始まり、911、そして最新のカイエン エレクトリックにまで等しく流れる“スポーツカー”の血潮。

これまではそのDNAにあるモータースポーツからポルシェを語ってきましたが、今回は2026年サッカーFIFAワールドカップの熱に充てられた我々編集部は、アスリートたちとポルシェの関係性について語ってみたくなりました。

ポルシェでは多くのアスリートをブランドアンバサダーとして迎え、彼らの活動をも応援してきました。直近では、2022年にアメリカのメジャーリーグベースボール(MLB)で活躍する大谷翔平選手が「ポルシェドライビングアスリート」に就任しました。

夢を追いかけて挑み続けるアスリートの姿は、ポルシェの「夢を追いかける人のためのブランドであり続ける」というミッションと重なります。そこで今回は、これまでアスリートたちが、ポルシェとどのような化学変化を起こしてきたのかご紹介したいと思います。

シュトゥットガルト出身の
“サッカー”元ドイツ代表

ポルシェと同じ西ドイツ・シュトゥットガルト出身のサミ・ケディラは、サッカー選手としてあらゆる栄光を手にしました。

幼い頃からプロサッカー選手になることを夢見ていたサミ・ケディラは「VfBシュトゥットガルト」のジュニアおよびユースチームでサッカー技術を磨きます。そして20歳で、同チームと共にブンデスリーガの優勝タイトルを獲得しました。

サミ・ケディラ、2020年、PorshceAG

さらに23歳の若きミッドフィールダーは「レアル・マドリード」に加わり、2009年にはU-21欧州選手権優勝チームのキャプテンを務め、2014年にはドイツ代表としてFIFAワールドカップ優勝を飾りました。

そんなサミ・ケディラは現役引退後、2018年よりポルシェの若手育成プログラム「Turbo for Talents(ターボ・フォー・タレンツ)」のアンバサダーとしての役割に専念しています。

Turbo for Talents
才能ある若手をポルシェがサポート

ポルシェのこの若手人材育成プログラムは、サッカー、アイスホッケー、バスケットボールなど、様々なスポーツで活躍する才能ある若者を支援することに尽力しています。

質の高いスポーツトレーニングをただ支援するだけでなく、参加する子どもや若者の社会的、人格的な成長を支援することにも重点を置いていることが特徴です。

2025年9月には、5回目となるU-15トーナメント「ポルシェ・フットボールカップ」が開催され、ケディラ氏が育った「VfBシュトゥットガルト」を含む8チームがヨーロッパ中から参加して、ハイレベルなジュニア・サッカーを繰り広げました。

2025年優勝したレッドブル・フットボール・アカデミー・ザルツブルク

ケディラ氏は、自身の経験を振り返って「とても幸運に感じる」と同時に「それを可能にしてくれたすべての人に感謝している」と話しています。

彼がこの「Turbo for Talents」のアンバサダーを受けたのは、夢を叶えさせてくれたスポーツに恩返ししながら、できるだけ多くの子どもや若者が「人生における自分の役割を見つける」手助けをしたいから。

才能ある若者たちのスポーツと人間的成長を支援し、自身の経験を共有できることへの喜びを語るサミ・ケディラ。ポルシェは、そんな彼の力を借りながら、同時に彼の新たな“夢”をも応援しているのです。

EBIグループもアスリートを応援

トップアスリートとスポーツの支援に熱心なポルシェ。その正規ディーラーネットワークであるEBIグループもアスリートたちとは縁が深く、実は各店舗に今回のサッカーワールドカップで健闘した現役の日本代表選手が遊びに来てくれています。

※各店公式Instagram投稿より抜粋

● 久保建英 選手
サッカー日本代表MF/FW
ラ・リーガ|レアル・ソシエダ所属

以前から親交のあるポルシェプロの家木(当時)に会いに、ポルシェスタジオ銀座へご来店。ストア内でポルシェワールドを満喫いただきました。
● 菅原由勢 選手
サッカー日本代表DF/MF
EFLチャンピオンシップ|サウサンプトン所属

2025年のシーズンオフ期間の日本滞在中に、ポルシェスタジオ銀座へお立ち寄りいただきました。
● 町野修斗 選手
サッカー日本代表FW
ブンデスリーガ|ボルシア・メンヒェングラートバッハ所属

2026年ワールドカップへ旅立つ直前のオフ期間のパートナーに、ポルシェセンター目黒からタイカンをご提供しました。

※選手情報に関しては、いずれも記事執筆時2026年8月時点の最新情報です。

 

また、EBI  DIGITAL STUDIOでも元サッカー日本代表・石川直宏さんが愛車718 ボクスター GTS 4.0について語ってくれました。その様子はこちらを御覧ください。

911のエンジン音をスイッチに輝く
エマ・ラドゥカヌ選手

テニス界のポルシェアンバサダーは、スポーツカーという刺激を取り入れて、人生をより多面的に輝かせようとしているようです。

エマ・ラドゥカヌ選手は、一躍テニス界の新星となった選手です。そのきっかけは、2021年に弱冠18歳で初出場した全米オープン女子シングルスでの優勝でした。

Emma Raducanu, Porsche Brand Ambassador, Wimbledon, 2024, Porsche AG

ラドゥカヌ選手は当時、世界ランキング150位のノーシードの選手でしたが、予選を含めて全10試合ともストレート勝ちして勝ち上がりました。そして、直前の東京オリンピックで金メダルを獲得したばかりのベリンダ・ベンチッチ選手を破り、優勝したのです。それは世界初となる快挙でした。

ちなみに、イギリスの女子選手が4大大会で優勝するのは44年ぶり。当時御存命だったイギリス女王もその大金星を心からお喜びになられたとのこと。

そんなラドゥカヌ選手がテニスを始めたのは5歳のとき。朝から晩になり、暗闇に包まれても練習に励んだ彼女は、13歳の誕生日に国際テニス連盟(ITF)から18歳以下の大会への出場を認められます。そして、そのわずか8日後、リバプールで開催されたナイキジュニア国際大会で、ITF史上最年少のチャンピオンとなったのです。

ポルシェとの縁が生まれたのも、ちょうどその頃。彼女のコーチが乗っていた911のエンジン音に、ティーンエイジャーのラドゥカヌ選手の感性は大いなる刺激を受けたようです。

「朝の7時にコーチの911のサウンドが聞こえてくると、頑張るぞ、ってテンションが上がりました。あの車にすごく憧れたし、いつか自分もポルシェを買いたいな、って夢見ていたのですよ」

(2022年クリストフォーラスマガジン403号より)

Emma Raducanu, tennis player and Porsche Brand Ambassador, Taycan, Shenyang, 2023, Porsche AG

そして彼女は「テニスだけでは、あまりにも一面的な人生になってしまうから」と、モータースポーツにも情熱を傾けています。

カレラカップやツーリングカー選手権の決勝を見るために、イギリスの名門サーキットであるブランズハッチに足を運んだり、F1グランプリを観戦したり。特にフォーミュラEでは電動モーターの加速に魅了され、ポルシェが初優勝したときには一緒に喜んだそうです。

こんなにも好奇心と生きる喜びに満ちている女性が、ブランドアンバサダーとして最新の911に触れたとき、弾けるように感情が溢れ出ていました。

Emma Raducanu, 2022, Porsche 911, Porsche AG

万有引力のように魅かれ合う
アスリートとポルシェ

アスリートとスポーツカーは、単に相性の良さだけで語れる間柄ではありません。特にポルシェとは、離れがたい縁のようなものでつながれるように、互いに魅かれ合っているのだと感じます。

最後にもうひとりだけ、ポルシェが人生に欠かせないというアスリートをご紹介します。

クリスティ・スウェイドは、ジェットスキー世界選手権を6度も制した偉大なるチャンピオンであり、スタントウーマンや起業家としての顔をもつスーパーウーマンです。

彼女は53歳にしてジェットスキーでバックフリップに挑戦し、10回目の挑戦で成功を勝ち取る偉業を成し遂げています。

彼女の人生には「水、ガソリンの匂い、エンジンの轟音。私にはスピード、そして肉体的なチャレンジが必要」だと語るほど。ジェットスキーに乗る幸福感で満ち溢れています。

そして同じくらいの熱量で、ポルシェにも愛情を注いでいます。彼女はジェットスキーをトレーラーで運ぶときや、2人の息子と旅行するときは白いマカンSを繰り、ドライブやショッピングを楽しみたいときには、718ボクスターSのハンドルを握るという生粋のポルシェフリーク。

スウェイド氏が、本格的に陸上でスピードを満喫したいときは、ポルシェ公式のスポーツドライビングスクール「ポルシェトラックエクスペリエンス(PTX)」に走りに行くといいます。

難易度の高いカーブが続く約4kmのコースで、マニュアル6速ギアボックスを自在にコントロールしながら、理想的な走りのラインを見つけ出し、体の真後ろで唸りを上げるエンジンを感じながら、718 ボクスター Sを満喫する。

彼女は自身のアドレナリンを放出させるために、“最適な”エンジンを全開にするのです。走る場所が水面ならばジェットスキーを、陸上であれば愛車である718 ボクスター Sを選ぶというように。

彼女は単に自身のアジリティとポルシェの性能を掛け合わせて、楽しんでいるのではないようです。かけがえのない2台の愛車に夢を注ぎ、人生の輝きを見出すことで、唯一無二のドライビング・エモーションを感じているのでしょう。

人生に前向きに挑む姿はいかに美しく、尊いか、想像に難くありません。アスリートとポルシェは、双方がシナジーを生み出す化学反応、奇跡のようなGood Chemistryを生み出すのです。

スウェイド氏はポルシェの公式なブランドアンバサダーではありませんが、ポルシェが人生に溶け込む様は、まさにポルシェの思想の体現者といえるでしょう。

Words:Yuki Kobayashi / Tatsuhiko Kanno
Photographs:Porsche AG

– TEAM EBI DIGITAL STUDIO –